日記未満:20220812 着たい服、履きたい靴、やりたいこと、できないこと

 24歳になったという事実を前にして、自分について考える時間が増えた。
 逃避。取得しなければいけないと考えている資格にまつわるあれこれや、推しが消えてしまった寂しさを忘れたいだけかもしれない。内実はどうあれ、考えていることには違いない。

 着たい服がある。履きたい靴がある。やりたいことがある。全部できないと感じる。

 着たい服は、フェミニンな、柔らかい、ふわふわとした、「お洋服」と呼びたくなるものだ。ちょっとちゃんとしたところで買おうとすると値段は5桁に達してしまうようなお洋服を、着たいと思ってしまっている。こんな色黒で、毛の処理もまともにしていなくて、可愛さも淑やかさも持ち合わせていない自分が。
 20代前半であるうちに、ビキニを着て海に行きたいと思っている。行きたかったと思っている。お盆が過ぎるとクラゲが増える。今年の夏はもう無理だろう。だから、行きたかったという後悔。

 履きたい靴がある。
https://www.dianashoes.com/shop/g/g178572400011/
店頭で見かけて、なんてすてきな靴なんだろうと目を奪われたけど、奪われただけだった。視線を靴に向けたまま歩き続けて、立ち止まれなかった。通り過ぎた。
 履けない。ヒールを履く習慣がない。巻き爪が悪化している。
 履いてどこに行くの?行きたい場所なんてない。

 やりたいことがある。
 あるのだろうか。やらなきゃいけないという強迫観念のようなものと距離が近くて、心からやりたいことだとは言いにくい。厳密には違うかもしれないけど、一般的にやりたいことと表現するのであろうことが、ある。
 大学院に行きたい。
 子どもを産みたい。結婚は別にいいかな。一緒に子供を育ててくれる人がいれば。
 両立は、難しいんだろうな。
 社会的に有益と判断されるのは、私が大学院に行くことよりも子どもを産むことであると思う。私が研究したい分野は、分かりやすくお金に繋がらない。多分私のためにもならない。私は結局机上で考えをこねくり回すのが好きなだけで、そのことを他者に有益だとアピールすることはしたくない。やろうと思えばできる。攻略法があるのはわかるから、その通りにやればいい。やりたくないだけ。
 院を出て、その先は?就職活動をできるか?院を出て就職を?都会に行かなきゃ、学んだことを活かす仕事なんて。うそ、行ってもあるか分からない。公務員にはなりたくないんだけど、公務員くらいしか。仮に就職できたとして、仕事が落ち着いた頃、私は何歳になる?子どもなんか持つ余裕があるのか?
 それなら色々諦めて、子どもを産むだけの存在になった方がよっぽどマシだろう。幸い、肉体は健康な方だから。
 社会に貢献するためにはきっとそうすべきなんだと思う。

 お金が欲しい。働かなくてはいけない。働ける範囲で。
 やれることをやるしかない。
 で、その先は?
 やれることをやった、しか残らない。

 かわいらしい服やすてきな靴に手を出せないのは、それよりも優先することがあるから。
 足が痛い。着たい服や靴のために自分を大幅に変えたり我慢したりしたくない。
 脱毛したくない。脱毛にお金を使いたくない。
 着飾るためにお金を使うよりも、働くための日々の食事や、奨学金の返済や、寄付や、自分の進学あるいは未来の子どものためにお金を使いたい。
 遊んでいる時間も自分を着飾るために使うお金もほんとうは無いんだ。
 欲望をすべて断ち切って、ただ他者に奉仕する存在になりたい。そうなると宗教が拠り所になりそうだけれど、わたしは宗教に救いを見いだせない。強いて言うなら、わたしにとっての宗教は倫理学だ。倫理学者になるのか。無理。無理だ。やりたくない。
 搾取する側になるくらいなら搾取される側でいたいという私のからだのかなり中心にある考え方が、いろいろなものをめちゃくちゃにする。大義のためなら犠牲をいとわない存在になれない。なりたくない。

 ずっと、やりたいことと、その実現に必要なやりたくないことを天秤にかけている。
 やりたくないことに傾くから、やらない。
 繰り返している。繰り返している。
 気分が悪くなる。
 だれも助けてはくれない。自分のなかの話だから。
 そうして今日も搾取の成果物である電気を水を食品を消費して生きていく。
 あの時自殺しときゃよかった、をずっと抱えている。息をしてる。